狂愛。
狂愛

ベットに横たわりシーツを目の下まで被り
そっと台所にいる彼を見る。



私が少しでも動くと




「ん?どうかしたの?」




そう微笑む彼の目つきはとても鋭い。




なんでもないと首を横に振れば


「そっか」



そう言い、また包丁を持ち野菜を切り出す。




彼は綺麗だ。


サラリと靡く漆黒の髪に整った顔立ち。


この人を彼氏にしたいと思う女性はこの世の中にたくさんいるんだと思う。





「ご飯出来たよ」


お盆に乗せてご飯を運んでくる彼。



私は体は起こすけれどベットの上からは動かない。




ミシリという音を立てて、ベットに座る彼。






「食べよっか」


スプーンでご飯をよそい



「はい、食べて」


私に食べさせてくれるのはいつものこと。





「美味しい?」


そう聞かれ、美味しいと首を縦にふる。






「よかった」


そう微笑む彼はやっぱり綺麗で…
そして脅威だ。





ご飯を食べ終え、いつもの時間がやってきた。




「華、マッサージしよっか」







コクリとうなづけば、服の中に彼の手が忍び込んでくる。




私の背中をマッサージしながら




彼はいつも私に言う。






「華は、…俺のものだよ」


「ずっと、ずっと」






「愛してる。だから華は誰も見なくていいから。誰の声も聞かなくていい。俺だけを見てればいい」





「わかった?」









彼は時々、酷く悲しそうな顔をする。

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