狂愛。
彼…………伊月は私の幼馴染だ。
幼いころ両親に虐待され
学校で虐められていたわたしをいつも助けてくれたのは伊月だった。
でも高校で伊月と離れてからは
守ってくれる人が居なくなって一人になった。
必死で戦ったけどダメだった。
ストレスからか声が出なくなった。
体が動かしにくくなった。
食欲がなくなった。
久しぶりに伊月が家に来た時、伊月は私を見て泣いた。
「…ごめん、ごめん、、離れてごめん…っ」
伊月の涙を拭ってあげる力がない自分が恨めしかった。
泣かないで、笑って、そう思った。
その日伊月は私を背負って伊月が一人で暮らしているアパートに帰った。
私の両親は笑ってた。
包丁を振り回しながら、笑ってた。
その日から伊月は私につきっきりになった。
ご飯もお風呂も寝る時も、伊月がそばにいた。
伊月は傷だらけの私の体をいつも
「綺麗だよ」
そう言って優しく洗ってくれる。
動かしにくい私の体をマッサージしてくれる。
「ちゃんと食べて」
ご飯を食べさせてくれる。
「華はなにも見なくていい、聞かなくていい。
俺のそばにいればいい」
「ずっと一緒だから」
そう言って、今日も伊月は私を外の世界から守ってくれる。
END