クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「いい加減、葛城課長の側から離れなさいよ!」
「そうよそうよ! 彼が迷惑してるってわからないの!?」
「そのくせ同じ課のエリートまでたぶらかせて! とんだ男好きだわ」
「葛城課長も可哀想……騙されてるのに気づかないなんて」
「そうよ! あんたなんて所詮ぽっと出の新参じゃない!
晶子はね、5年も葛城課長のことがずっと好きなんだから。あんたなんか最初からお呼びじゃないんだからね」
予想通りと言えば予想通りのお話に、やっぱりとため息が出そうになる。
私を取り囲んでやいのやいの言ってる女子社員さんは、おそらくそこの小柄なカワイイ系の女子社員さんの親友なんだろう。
きっと、彼女も本気で葛城さんのことを好きなんだろう。
その気持ちは、痛いほどよく解る。私も未だに片想いが継続中なのだから、立場としては晶子さんと変わらないんだ。
でも、と私は思う。
「……ごめんなさい、離れるわけにはいきません」
私はひとりひとりの目をしっかり見て、何の躊躇いもなくきっぱりと言い切った。
「な、何よそれ!」
あまりにあっさり言い切ったからか、きつめの美人さんが更に目をきつく釣り上げる。
「葛城課長が迷惑って言ってんのがわからないの! あんたみたいな男好き、葛城課長にふさわしいわけないでしょう!」
喚く彼女にも、私は目を向けて答えた。
「加藤さんとは単なる同僚です。疚しいことはこれっぽっちもありません」
そして、私は次に晶子さんへ目を向けると彼女へ向かって歩み寄った。