クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「葛城課長は、愛されるべき人なんです。一生をかけて裏切らずに、深く愛せるひとなら……私は彼を託したい」
打算や外見やステータスだけで惹かれた人に、葛城さんを託すわけにはいかなかった。外見が派手でも、本当の意味で彼を愛してくれるなら。私はいつでも身を引く覚悟はしてた。
だけど……1年以上経ってやって来たのは、ステータス目当てのひとばかり。あの桜井のお嬢様以上に、心底彼を慕うひとはいなかった。
(ちなみに、桜井のお嬢様は無難な方と最近婚約した)
だけど、と私は目の前の晶子さんを見る。
彼女なら、もしかしたら……本物かもしれない。私が判断することではなく、葛城さんが選ぶことだけど。一度話をする機会をもうけて、後は二人のペースで仲を深めれば……。
葛城さんのしあわせのために……と思うのに。ずきずきと痛む胸を押さえる。
やっぱり……まだ、彼を好きだから。
いいえ。1年前よりもっともっと、彼を知れば知るだけ。同じ時間を重ねるだけ、より深く想うようになった。
だから、正直に言えばとても辛い。身を切られる想いを必死に抑えてる……でも。
やっぱり、いくら考えても辿り着く結論は同じ。
私よりも、葛城さんにしあわせになって欲しい。きっとそれを見られたら私はしあわせになれる。ただ、それだけだった。