クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
けれども、話してる最中に急に視界がくらりと歪む。
「……っ」
「加納さん!」
晶子さんが慌てて私の体を支えてくれる。
「すみません……ありがとうございます」
「いいえ、だけど……顔が真っ青ですよ?医務室へ……」
心配そうな晶子さんの声に、ああ……このひとなら大丈夫かもしれないと思う。
「私なら大丈夫……それより……葛城課長を……彼を愛してあげてください……優しいあなたならきっと……」
どうにかして自分で立ち、彼女の手を取って頼み込んでいると。
「夕夏」
ドキン、と心臓が跳ねる。
もう聞き慣れているのに、その深い声で呼ばれる度に鼓動が速くなる。
グイッ、と肩を掴まれて視界が回る。彼の胸に顔を押し付けられ、抱き寄せられた……と知るのはすぐに。
「おまえは……また。勝手に、おれの縁談を進めようとするな」
ちょっと不機嫌に聞こえるけれども、きっと気のせいだ……と思う。
「か、葛城課長……今夜は……そちらの……晶子さんと夕食へ。お願いします……」
頭がすうっと冷えて、胃がぎゅっと締め付けられる。気分の悪さに拍車がかかるけれども、必死にお願いした。
「……きっと彼女なら……あなたを愛してくれます。だから……っ!」
グイッ、と引き寄せられた、と感じた瞬間に――唇を塞がれた。葛城さんのキスで。