クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「おまえの気持ちはわかっている。だが、今おれのそばにいて欲しいのは、おまえだけだ。悪いが、他の女性とつきあうつもりはない」
「……葛城さん」
思いもよらずそんな事を言ってもらえて、嬉しさと申し訳ない気持ちで涙がにじむ。そのせいかますます目眩がひどくなり、瞼を閉じた私を葛城さんは抱き上げた。
「君たちの気持ちはとても嬉しい。だが……おれが必要なのは夕夏だけだ」
きっぱりと言い切った葛城さんは、返事を聞かずにさっさと歩き出す。聞こえたかわからないけれど、私は「ごめんなさい」と謝っておいた。
医務室のベッドに横になった私は、簡単な質問を受けて答えた後に軽い貧血だからしばらく休むように、と診断された。
「今日は早退するか?」
「いいえ。まだ仕事が残ってますから……それに約束もありますし……」
葛城さんに早引けを勧められたけれど、まだまだやりたいことがある。回復次第直ぐに復帰しなければ。
それに、夜には以前からの約束もある。それにはどうしても参加したかったから、それまでには仕事を終わらせたかった。
「薬は?めまいがひどいなら飲んでおけ。勤務医に出してもらおう」
「薬は……あんまり頼りたくないんです」
まだ昼休み中だからか、あれこれ世話を焼こうとする彼に、苦笑いが込み上げた。
「薬が要らない気持ちはわかるが……」
まだまだ薬が嫌いな葛城さんは、きっと渋い顔をしているんだろうなと容易に想像ができた。