クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~


あの後一時間ほど経ってお開きになった歓迎会は、当然のように二次会へ流れたけれど。歓迎会の間中ずっとビールを飲みっぱなしだった葛城課長は、終わる頃には既に5本近い瓶ビールを空けてた。


あまりこういう場に慣れてない私でも、流石に飲みすぎだと解る。彼は表情も顔色も変わらなかったけれど、少しだけ体に力が入らない様子で。心配になったから、誰かが呼んでくれたタクシーで一緒に帰った。


後で変に思われるかもしれないけれど、一応同じ方面だと言い訳はしておいたし。皆は盛り上がる方に意識がいってあまり気にしてないのかスムーズにタクシーに乗れた。


ただ、加藤さんがチラリとこちらを見た時。一瞬真顔になったような気がしたけど。すぐににこやかに手を振ったから、何とか笑顔を作って手をふりかえしておいた。


「葛城さん、大丈夫ですか?」

何とかメゾネットアパートに帰宅した後、葛城課長の身体を支えながらダイニングにある小さなソファに彼を座らせた。


時計を見るともう日付が変わる前。幸い明日は土曜日だから、土日の2日あれば酔いつぶれていても何とかなるだろう。


キッチンに向かった私は、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してグラスに注ぐ。水と一緒に出たのはため息だった。

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