クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



身体がベタついてるからお風呂に入って流したいけど、さすがに図々しいだろうな。
急いで服を身につけるけど、さすがに下着だけは無理。


(ティッシュを借りよう……)


ごめんなさい、と内心で謝りながら、ティッシュボックスのある机に歩み寄る。ティッシュを借りた時、すぐそばに裏返しになったフォトフレームがあることに気付いた。


特に特徴的なデザインでも、派手なわけでもないのに。どうしてこんなに気になるんだろう?


それをしばらく見つめた後にこわごわと手を伸ばして、ハッと我に返る。


(な、なに勝手に見ようとしてるの! これは葛城さんのプライベートであって、私には一切関係ないんだから)


一切関係ないと自分に言い訳しながらも、その言葉が胸を抉る。


(葛城さんは、私がペットだから抱いたんだろうな。後腐れない相手だから……)


ズキンズキンと胸が痛んだとしても、これは私が勝手に胸を痛めただけ。葛城さんには何の責任もない。


なんだかまぶたの裏が熱くなって、出そうな涙を止めるためにギュッと目を閉じる。頭を左右に振った後、踵を返そうとして。そのまま椅子に肘をぶつけてしまった。


「あっ……」


椅子は思ったよりも揺れて、机にぶつかる。その衝撃で机が僅かに揺れて、上にあるものが幾つか床に落ちた。


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