クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「うまっ! 何コレ? ホントに加納さんが作ったの?」
「あ……はい」
カツサンドを頬張りながら、ウマイウマイを連発するのは、例の合コン大好きな富永(とみなが)先輩。
いつも私がお昼を取る休憩室で、なぜか彼女と並んでベンチに座りお昼を摂る羽目に陥ってた。
何でも、今日に限って財布にお金を入れ忘れてきたという彼女。そういう時にいつもタカる……もとい。頼る営業課の男性は、あいにく外回りで不在らしい。だから、ランチバックを二つ持った私に目をつけたということ。
後でお礼をするから! と大音量のお腹の音を聞きつつ涙ながらに頼み込まれれば、いやとは言えない。もともと私だって葛城さんに拾われてここに居られる。困った人がいるなら見捨てられる訳がない。
(どうせ食べてくれないし……無駄にするよりはいいよね)
半ば自棄な気持ちで葛城さんに用意したカツサンドランチを渡せば、富永先輩は軽やかな足取りで私と休憩室にやって来て、今こうしてます。
「味付けは味噌? だけどちょこっと変わってるよね」
「あ、赤味噌を使ってるんです」
有名な味噌ブランドを挙げれば、そうかぁと納得顔で最後のひときれをパクリと口に放り込む。
「衣はサクサクしてるのに肉は柔らかくてジューシー。キャベツも味付けもいいアクセントになっててマジウマイよ!
加納さんってお料理上手なんだね~こりゃ女子力ポイント高いわ」
アタシはダメだな~と先輩は机に突っ伏してしまってますが。
「いえ、これくらい……」
「加納さんがこのくらいレベルなら、アタシなんて地を這うどころか突き抜けてマイナスだよ! ゆで卵も茹でれないのにさ」
やっぱし手料理は重要なアピールポイントだよねぇ……とブツブツ呟く先輩の目が血走ってて怖……いえ、何でもありません。