クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



突然の闖入者に富永先輩が眉をひそめた。


「はぁ?なに勝手に決めてんの。第一足りないの女子なんだけど?」

「じゃあ僕が女装子になるよ。結構イケると思うし~」

「そりゃ、あんただったら似合いそう……って、違う! 女装子のアンタなんざ連れて行って間違ってアンタがお持ち帰りでもされた日にゃ、女側幹事のアタシの立場が無いわ!」

「そ?やっぱし~アタシの方がかわいいからかしらァ?」

「キモ!ひたすらキモッ!!」


ぎゃんぎゃんと叫ぶ富永先輩を適当にあしらった加藤さん。あの先輩を黙らせるなんて、さすがです。


「ん、確かにウマイな。加納ちゃんって料理上手だね」


にっこり笑って正面切って褒められると、男性からの賛辞に慣れてない私は恥ずかしくて俯くしかない。手元に目を落とせば、まだかなり残ったカツサンド。


どうも今日は食欲が無くて、いつもの半分も食べてれてない。どうぞと差し出せば、「ちゃんと食べないでいいの?」と加藤さんに眉を寄せられた。


「あの、ダイエット中なんで……よかったら食べてください」
「え~! その細さでダイエットって。嘘でしょ」


富永先輩がかん高い声を発するから、周りの注目を集めてしまいますます顔に熱が集まる。加藤さんはどうしてか、私の前に立つとランチボックスを手で持った。


「あんがと! じゃあ遠慮なくいただくよ」


彼は私とそう身長が変わらないのに、すごい早さでサンドイッチを口にする。そしてあっという間に食べ終えると、お腹を叩いて余は満足じゃと呟いた。

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