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「映画!行くっていったでしょ?お昼ご飯食べてから映画見てそれから食器買いに行こう、ほら着替えて」

布団を剥ぎ取る彼に逆らわせない力を感じるのはどうしてだろう。

「しょっき、?」
「そう、そろそろお皿買わないと足りないから、あとコップも我慢してたけど俺用に買いたいし、ポットもほしいし、ていうか色々物足りなくて困ってるんだよ俺」

彼の口から溢れ出す止まらない不満に、ぐうの音も出ない。
私の家にある食器はコップ一つにお皿が三枚あるだけだ。

鍋やフライパンも知らないうちにあったからそれはきっと彼が持ってきたものだろうけど、コップや皿は持ってきにくいからそのままにしていたのだろうと思う。

空っぽだったキッチンに生活感が加わってきたと思っていたけど、どうやらあれでは駄目らしい。

「ごめん、わかった」
「うん、早く準備しておいで」

口調は優しいのに心なしか目が鋭い。
慌ててクローゼットから黒いニットとスキニーパンツを取り出して着替えた。

髪の毛はアイロンをかけてストレートにして、化粧もいつもより手早く薄めにしておいた。



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