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15分もただずに部屋から出てきた私に、彼は満足そうに笑って私にカバンを手渡してきた。いつの間に私のカバンまで。

「よし、ほらいこう」
「え、わ、まって」

家の中で手を繋ぐひとが存在するのかと笑いそうになったけど、彼の勢いにおされてそのまま家を出た。

いつも同じような格好をする私を見越してか、玄関に置いてあった靴は違和感のないものだった。


「なんでそんなに急いでるの」

車に乗りこんでひと段落した頃、彼の横顔に問いかける。

「別に急いでないよ、ただ今日は少し遠いところに行くつもりだったから早めに出たかっただけ」
「遠いところ?」
「そう、だから寝ててもいいよ」


遠いところ、というのに少し引っかかったものの彼の言葉に従うように重い瞼を閉じた。



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