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目の前の景色を目にした瞬間、気づいたら私は彼の手を引き止めるように掴んでいた。
目の前で彼が不思議そうにしながらも甘い笑顔を浮かべる。
「ここ、」
「映画見に行ったら買い物して、またドライブして別荘まで行こう、ヒユウ」
目の前にいる彼はさっき見た甘い笑顔と変わらない。
彼も、この目に映る景色だって。なにもおかしくなんてないのに。
なんで、私は、動けない?
「ヒユウ?」
ヒユウ?ヒユウが、くらくらと揺れた。
私の名前、私の名前がどんどん離れていくような、そんな、おかしい感覚。
「ヒユウ!」
「な、なんで」