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照れたように笑う彼女はなにもわかっちゃいない。
俺がどんだけ嫌な人間か。
どれだけ、セツナを欲しているか。
ぐだぐだとした暗い感情を押しつぶすように俺はパッと思いついた質問を投げかける。
「セツナは好きな人とかいないの?」
「へ、すきなひと?」
きょとん、と首を傾げたセツナににっこりと笑って頷く。
「同じクラスの男の子とか」
小学生の頃はサッカーの上手い男子が女子に騒がれてた気がする。
俺の小学生時代のクラスメイトの女子がそうだったように、セツナもそうだったりするのだろうか。
「えー、難しいなあ。友だちはね、ユウキくんがかっこいいって言ってたよ。でもせつは、」
ユウキくん。友だちが話してたというそいつのことすらも消してやりたいと思う。
セツナの口からでた名前全て、なかったことにしたいと。それでもセツナは、
「せつはかっこいいってよく分からないんだ、ユウキくんなんかよりお兄ちゃんのほうが優しいもん」
そんなことを言って、りんご飴をぺろりと小さな口でかじって照れたようにはにかむから。
ああ、可愛くて、たまらない。