ハル
プロローグ


はじめまして。
よろしくね、榎本くん。


僕の耳に木霊する優しい声。
何度この言葉を聞いたのだろう。
何度この声を聞いたのだろう。
わからないほどのはじめましてを僕は聞いた。
「舞子、もういいよ。」
僕は、自分で脳内に刻むように、
自分で語りかけているとされる舞子の声を
自分で抑圧した。
あれからもう、6年もたったんだな。



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