大きな背中
2:大切な友達
「そろそろ行くか!」
それから色々くだらない話しをして、私たちは6時頃に陸の家を出た。
『お邪魔しましたー。』
「ん。」
『ありがとう。』
私はまた陸の自転車の後ろに乗った。
「ゆっくり走るから恐くねーからな。」
『うん。』
陸は私の頭をぽんぽんってして自転車を進めた。
「平気?」
『平気ー。風が気持ちいいよ。』
車の音にかき消されないように大声で話した。それに、陸が私の手を取って自分の腰に回した。
「つかまってな。」
私は恥ずかしくて、嬉しくて、何も言えなかった。
自転車ってこんなに良いものだった?陸と乗る自転車はこんなに楽しいんだね。
風がこんなに気持ちいいことも初めて知った。
人の肌がこんなに暖かいのも初めて知った。
車がこんなにたくさん走ってるのも初めて知った。
それから…
人をこんなにも好きになれるなんて初めてだよ。
陸…?
陸のおかげで初めてがたくさん溢れてるよ。
私もっともっと好きになってもいい?