氷の華

「え？」


「借金は一時肩代わりしただけ、ドレス代は借金に加算しておく。勿論、そのマンションの家賃もな。与えたという言葉を使うなら、貸し与えたが適当だろう。」


勝手にしたくせに、それをお金に変えて返せと言う氷藤社長に、言葉が無かった。


どこまでも無駄の無い計算を弾き出す、冷静な思考。


改めて、氷藤社長を怖いと思った。


「世界中のどの国でも、金を持っている奴が強い。金を持たない、力無い弱者はそれに従うだけだ。それが嫌でそうなりたくなければ、一秒でも早く借金を完済しろ。」


お金を持ってる人が強い…。


その熱を持たない言葉だけが、頭の中で幾重にも重なり木霊する。