氷の華
ミーティング前のロッカールームで、鏡を片手に最終チェック。


普段よりかなり濃いめだけど、気合いが入りすぎたアイラインには我ながら苦笑いだった。


女性だけの世界だし、お客さんを奪い合うのだから、もっとギスギスしているかと思っていたけど、周りを見渡すとそうでもなさそう。


皆でわいわいって訳じゃないけど、それぞれ二、三人ぐらいで話してるみたい。


私も話しやすそうな子を探そうと思っていると、段々ロッカールームから人が居なくなっていった。


時計に目を移すと、もう少しでミーティングが始まる時間。


「今日が初出勤なの?」


ホールに向かおうとする私の背後から、鈴を鳴らしたような可愛らしい声が聞こえてきた。
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