氷の華
「お早う御座います。今は少し落ち着きました。」


「そうですか、ハンカチやライターなどの忘れ物はないですか?」


柿沢店長の言葉にドキッとした。


勿論、それは恋愛感情なんかではなく、ライターの事を忘れていたという意味だ。


自分が未だ未成年だからという事もあるけど、煙草を吸わない私はライターの存在を忘れてしまっていた。


「すいません、ライターは…忘れてきちゃいました。」


「蘭さんは吸わないタイプみたいなので一応聞いてみたのですが、気付いて良かったですね。私ので良ければお貸しますので、ちょっと待ってて下さい。」


そう言うと柿沢店長は、スタッフ用のロッカールームへと消えていった。
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