氷の華
第七章…氷
鏡張りの外壁を纏った、一件の五階建てビル。


通りを挟んだ向こうには、白を基調としたキャバクラ店が、その電光ネオンから光を放っている。


店先に立つボーイをチラリと一瞥すると、瞬間的に怪訝そうな表情を露わにした。


そのボーイから視線を外し、運転手の新崎が先に立ち、地下一階へと続くドアに向かう。


鍵を開けて中に入ると、内装工事は滞りなく進んでいた。


勿論、この時間帯では内装業者の姿は無い。


五十坪ほどの店内に物と呼べるものは無く、ひっそりと静まり返り広々している。


店内をゆっくり見渡している間に、脳内では基調とする色から、キャビネットやテーブル、ボックスソファの配置まで計算し尽くされていた。
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