氷の華
柿沢はともかくとして、蘭には未知数の不安が残る。


だがそれと同時に、未知数への期待というものもあった。


「しゃ、社長…。」


背後で狼狽える運転手の新崎に、目の前で展開していたイメージに頷き振り返った。


「なんだ。」


「向かいの[whiteーcastle]からボーイの使いが来て、社長にこれを…と。」


新崎は恐る恐るといった動きで、枯れ果てたドライフラワーの束を差し出してきた。


新店舗オープンを控えたオーナー相手にこんな事をするのは、誰の目から見ても明らかな敵対心以外のなにものでもない。


ただ、俺ならその前に陳腐と付け加えるが。
< 138 / 270 >

この作品をシェア

pagetop