氷の華
第八章…華
開店時間を過ぎて、次第にテーブルが埋まっていく。


ミーティング時には居なかったキャストも、各の指名客を連れて同伴出勤してきている。


初出勤の私はと言えば、当然指名客なんて未だ居なくて、ホールの端に置かれている待機用のテーブルに座っていた。


ホールをざっと見渡してみても、キャストの人数の方が明らかに多い。


その為、待機用のテーブルには、私を含めて五、六人が出入りしていた。


一人が営業電話をかけにいくと、電話をかけ終えたキャストが戻ってくる。


そんな感じで、一人二人はロッカールームや化粧室や外へと、絶えず行き来している。


その中でも、私より少し前に入ったという愛さんと恋さん、[ミルキィ]では一番年上だという乃亜さんの四人は、待機用のテーブルから動く事はなかった。
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