氷の華
「社長〜どうしたんですか〜?」


語尾を伸ばす癖のある、愛子の言葉は無視した。


「客は捌けたのか?」


「はい、最後のお客様もお帰りになられました。」


「そうか、柿崎も呼んできてくれ。」


弾かれたように直ぐさま踵を返し、柴山は店内へと向かった。


所在なさげにしていた愛子は、笑顔の中に僅かな緊張を覗かせながら、ソファに身を落ち着かせようとしていた。


「座る必要はない。話しは直ぐに終わる。」
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