氷の華
一気に緊張の比率が高まった愛子は、もう到底笑顔とは呼べない、作り笑いになっている。


「もう明日から店に来なくて良い。話しは其れだけだ。」


「なっ…そんな、急に言われても困ります!」


本来の愛子は、鼻にかかるような声で語尾を伸ばしたりしない。


目の前にいる女が、本当の愛子だ。


「その理由を一番分かってるのは自分自身だろう?」


顔もスタイルも可もなく不可もなくで、聞き役にも徹しきれず、話しも上手くない。


この三ヶ月で、愛子の指名が全て無くなったのも当然だ。
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