氷の華
「指名が無くなったのは、フリーの客を回してくれなかったからで、私の所為じゃありません!」


「それは新規の指名客の話しだろう?俺が言っているのは、其れまでの指名客を失った原因だ。」


[ミルキィ]の場合、新規のボトルも入れず、延長もせずに二時間で一万八千円の料金設定。


其れだけ払えば、安い店なら一発ヌいて貰うには十分だ。


ヌきもせず、軽いタッチぐらいしか許されずに、客は一万八千円を支払わなければならない。


「お前に金を払うまでの魅力がない。客が離れていった原因は、ただ其れだけだ。」


反論も出来ない愛子は、グロスを塗った唇をへの字に固く結び、白いファンデーションもその意味を成さないほど、屈辱と恥辱で顔を赤く染めていた。
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