氷の華
初出勤から三日後、ミーティングも無く営業が始まった。


相変わらず疲れは蓄積していくばかりで、自分でも表情が暗いと分かる。


そんな気分からか、選んだドレスは黒いドレープのロングドレス。


「ちょっと蘭ちゃん、顔色悪そうだけど大丈夫?」


待機用のテーブルに居る私に話しかけてくれたのは、今日も元気な恋さんだった。


「大丈夫なんですけど、未だ慣れてないからか疲れが抜けなくて…。」


その理由が慣れだけでない事も分かっていたけど、口にはしなかった。


前のアパートでは自炊もしていたけど、今のマンションに住んでからは、炊飯器を段ボールから出してもいない。


何かを食べるよりも先に、眠りたいという思いが勝ってしまってた。
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