氷の華
それぞれが一個の生命体。


裏道で生ゴミを漁っている野良犬や、電線に止まっているカラスと同じ。


その中でも強いて挙げるとすれば、若い女やサラリーマンなんかは別に分類しても良い。


俺の店に金を落としてくれる、カモとして。


街の灯りを吸い込む灰色の空。白い雪。各生命体。カモ。


それ等の映る薄暗い窓から視線を逸らし、ここ三ヶ月分の収支報告書に戻した。


冷血、冷酷、非情、非道…人からどう思われ、どう非難されようとも構わない。


それが氷藤 勲という人間だ。
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