氷の華
「蘭ちゃんって、源氏名?」


「えぇ、そうですけど。」


考え倦ねている私を後目に、恋さんは顔を輝かせた。


この世界に飛び込んだけど、不安と疲れを感じている私は、何時も元気そうな恋さんを見ていて羨ましく感じていた。


「それならね、お店と外ではonとoffで割り切るのが良いわよ。」


onとoff?


恋さんの言っている意味が分からず、自然と眉間に力が入る。


「簡単に言えば、お店に居る時は[ミルキィ]の蘭を演じて、仕事が終われば本名で有りの儘に過ごす。実際、そうでもしなきゃ酔客の相手なんてやってられないわよ。」
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