氷の華
本当なら、私なんかに教える事はないのに。


ただ潰れていく姿を横目で見て、自分の指名客を獲得していけば良いだけなのに…。


それを惜しげもなく教えてくれ、今までも気さくに話しかけてくれていた恋さんには、勝手にだけど友達という意識を持てた。


確かに、今までの私は本名を捨てて[ミルキィ]の蘭と生きていた。


それは大切なママとの思い出を守る為、私の持っている夢の為に、多額の借金を背負っていかなければならないという意識から生まれた答えだった。


でも私が、私の心と身体が先に音を上げては、何の意味もない。


今までは[ミルキィ]の蘭だけで全てを受け止めてきたから、ストレスも心に直接溜まっていくばかりだった。


でも、お店の中と外で二人の人間を使い分ける事が出来たら、溜まるストレスも和らいで分散してくれるかもしれない。
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