氷の華
少なくとも、お店の外に居る時は蘭という演技から解放される。


でも、そこまで考えて思ったのは、今の私が素の私だと言う事。


それはこれからの[ミルキィ]で、新たな蘭というキャストを演じていかなければならない事を指していた。


「恋さん、恋さんの言葉で悩みから解放されました。有り難う御座います。」


自然に出てくれた笑顔に、安心して恋さんを見ていると、一抹の不安が胸を過ぎった。


そうして過ごしている内に、私も氷藤社長のように感情を無くしてしまわないだろうか…。


「堅苦しいのは無しね。実はね、蘭ちゃんの事は初めて見た時から、可愛らしい子だなって思ってたのよ。」


「そんな、恋さんの方こそ綺麗じゃないですか。」
< 204 / 270 >

この作品をシェア

pagetop