氷の華
「じゃあ、ボトル入れちゃおうかな。」


「え?いきなりですか?」


この間のテーブルを思い出すと、坂本さんは高そうなウィスキーのボトルを入れていた。


シンプルな黒のスーツに、黄色がかったYシャツと合わせた、青と黄色の斜め縞のネクタイを締めた宮口さんの顔に、困惑の二文字が浮かんでいく。


「ボトルとか入れて貰えると嬉しいんじゃないの?」


そして、ボトルを入れて貰った時の流亜さんの喜びようも記憶にある。


「先ずは、ハウスボトルを呑んでからにしましょうよ。ね?」


そうだったのかという声が、宮口さんのホッとした表情から聞こえてきそうだった。
< 209 / 270 >

この作品をシェア

pagetop