氷の華
「蘭ちゃんも何か頼んで良いよ。」


そう言うと、宮口さんはソファの背凭れに軽く背中を付けた。


そわそわしていた様子や、いきなりボトルを入れようとした事を見ても、こういう場所に慣れていないみたい。


もう少し話しやすいイメージがあったこの間は、酔っていたからなのかもしれない。


「じゃあ、私はウーロン茶を頂きますね。」


伊藤君を呼んでオーダーを告げ、トレンチに乗せられて運ばれてきたのは、ハウスボトルと割り物用のミネ、そしてウーロン茶。


「あ、やっぱり最初は生で良いかな?」


ハウスボトルはそのままに、新たに運ばれてきた生ビールとウーロン茶で、宮口さんと乾杯を交わした。
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