氷の華
そこから始まった会話は弾み、あっと言う間に一時間が過ぎていた。


他に指名客も居ない私は、宮口さんの隣から動く事も無く、一つのテーブルに集中出来た。


その様子に宮口さんも満足そうで、私としても嬉しくなる。


でもそれは心に直接届く物ではなく、その前に聳える壁に行く手を遮られていた。


ストレスも半減してくれると同時に、嬉しさも半減する。


でも、それも当然といえば当然かもしれない。


今の私は、[ミルキィ]の蘭を演じているだけなのだから。


私であって、私ではないもう一人の自分なんだ。
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