氷の華
最後まで満足そうな笑みを見せる宮口さんを見送り、待機用のテーブルに戻ろうと歩いていく。


こうして何気なく歩いていても、笑顔が絶える事はない。


今日の出勤時には考えられなかった変化だ。


変化…言葉を変えれば進化とも言えるのかな?


でも、笑顔なのに感じるこの空しさはなんなのだろう…。


私と同じく、乃亜さんも待機用のテーブルに戻ってきた。


身嗜みを整えている所を見ると、これから指名客が来るのだろうと分かる。


「これからですか?」


「そうなの、この間来た野田さん。蘭ちゃんも覚えてるでしょ?」
< 213 / 270 >

この作品をシェア

pagetop