氷の華
この間、流亜さんのテーブルの後に付いた、乃亜さんの指名客。


さり気なくだけど、身体を触ってこられたのだから忘れてるはずがない。


乃亜さんには悪いけど、舐め回すような視線に嫌悪感を抱いていた。


「来たみたいね。」


そう言って立ち上がった乃亜さんを見て、キャッシャーの方に視線を向けると、柿沢店長と話しをしている野田さんの姿があった。


薄緑と言って良いのかもと惑う、微妙な色使いの長袖のポロシャツに、グレイのスラックスという出で立ち。


野田さんをテーブルへ案内した柿沢店長が、待機用のテーブルに向かってくる。


「蘭さん、七番テーブルで野田様がご指名です。」


待機用のテーブルに漂う空気が、音を立てて凍り付いていくみたいだった…。
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