氷の華
「俺が店に入ってきてから、お前が出てくるまで二分以上かかったな?」


「し、しかしそれは仕事が立て込んでいたからで…。」


「その時のお前の第一声は何だった?」


遮るように発した俺の言葉に、柴山は記憶の糸を必死にたぐり寄せているようだった。


──すいません、仕事の方が立て込んでまして──


記憶をたぐり寄せた柴山は、明らかな沈鬱の表情を浮かべている


「第一声で詫びているという事は、自らの非を認めているという事だろう?相手が俺じゃなく、キャストの接客に腹を立てた客だったらどうする?同じ言い訳を使うのか?」
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