氷の華
ただこうして煙草を吸っていても、静かだが確実に時は刻んでいる。


それを再確認させてくれるのは、白く燃え尽きていく灰であり、溜め息を吐く度に蓄積されていくような疲労だ。


新店舗オープンに向けて、事は少しずつだが前進している。


それは分かるが、一応のゴールが見えているまでの道程とは、遠く感じるものだ。


デスクチェアから立ち上がり、ブラインドを引き上げ窓を開けた。


飛び込んでくる新鮮な冷気が、身体の芯から冷えていくようで、心が安らぐのが分かる。


今はこんな生活をしているが、昔の記憶というのは中々消えてはくれない。


それが、残念だ。
< 221 / 270 >

この作品をシェア

pagetop