氷の華
決して裕福な生活とは言えず、同じ服を一週間着続けた事もあった。


朝食は無し、昼食は給食、夕飯は三百円がテーブルの上に乗っているだけ。


家から追い出されずに居るには、学校にいる時間が長ければ長いほど良い。


だが、同じ服を一週間も着続けているような奴を、誰が友達としてくれようか。


結果として、友達と呼べる人間は出来なかった。


そして、更に救われないのは、家から追い出されるのは真夜中が多かった事だ。


ずっと着続けている服は次第に薄くなり、冬になると自らの吐く息で暖を取った。


そうしながら、時間が過ぎるのを待つばかり…。


今の状況と似ているかもしれないと、片頬に苦笑いを張り付けた。
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