氷の華
腹を立てた客、揉め事になりそうな客には、いち早く的確な対処をしなければならない。


そうしなければ、周りにいる無関係な客に迷惑と不安が広がる。


俺が不在時に店を任されている店長が、代わりにそれを出来なければ意味がない。


「お前の力量は収支報告書を見れば分かる。俺の店に停滞の二文字は要らない。」


最後通告を柴山に突きつけ、白く伸びた灰を指先で叩いて灰皿に落とした。


「では…明日からの店長は誰が…。」


そう言った柴山の顔には、認めない認めたくないという感情がありありだった。


言葉には出さず、吸い込んだ煙を吐き出すと同時に、視線を柴山から柿沢に横滑りさせた。
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