氷の華
思い出したくもない過去の事を無理矢理思い出させられ、眠りは浅かった。


十分とは言えない睡眠時間にも慣れては居たが、殆ど眠っていないと言っても良いほどだ。


昼は社長職をこなし、夜になれば新崎の運転するリムジンで[ミルキィ]に向かう。


今は[ミルキィ]というだけで、その前は別の系列店へと向かっていた。


凡そ二十年ほどの間、変わる事のない生活サイクル。


唯一楽が出来た店舗と言えば、今や[H・A・C]の中で揺らぐ事のない稼ぎ頭の、[fairyland]の時だけだった。


[ミルキィ]の前で停まったリムジンのドアを、新崎から開けられて降りる。


そのままの流れで、店内に歩を進めていく。
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