氷の華
[黒谷カンパニー]は長くこの街に存在しているが、他の追随を許さないというまでに、揺らぐ事がないトップの座に居た事は無い。


俺がボーイ時代は他の会社に、俺が店を出して[H・A・C]を立ち上げてからは俺の会社に脅かされてきた。


他の会社が相手の時は、当時の勢いで乗り切ったという所だった。


黒谷が目指していたのは、揺らぐ事のないこの街のトップとして君臨し、その山頂に名前を刻む事。


それを黒谷亡き後、譲られた形でその場に立つ事など何の価値も無い。


「一人のキャストを潰しただけでは飽きたらず、後ろ足で砂をかけるように、もう一人のキャストも引き抜いていった奴の台詞がそれか。」


「その分は、貴方から色々と嫌がらせや仕返しをされましたからね。お陰で最初の店を出してからは、数年足踏み状態でしたよ。」
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