氷の華
お客様のタイプに合わせ、全てを使い分けている。


でも本当に凄いのは、それら全てが演技ではないと言う事だ。


心から感心し、心からの優しさを見せ、心の奥から楽しむ。


私なら、どれか一つが本当の自分で、後の二つは偽った自分にしかならない。


莉沙さんのようになるには、どうしたら良いんだろうか…。


「ねぇ、あれって氷藤社長よね?どうしたのかしら…まるで精気が無くなってしまったみたい。」


恋さんの言葉に顔を上げると、ふらついた足取りながらドアに向かっている氷藤社長が居た。


元々感情を表す事が無い人だけど、今はそれとは別の表情に見え、例えるなら死人のよう。
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