氷の華
最悪なタイミング。


これでは、宮口さんが更に誤解してもおかしくない。


宮口さんに視線を戻すと、ほら見ろと言わんばかりだ。


「帰る。」


それだけを残し、宮口さんはテーブルを離れていった。


ホールスタッフの誰かがその後を追いかけていった所で、視線を切った。


視線を野田さんに戻すと、[ミルキィ]を出て行く宮口さんの背中を、口元を綻ばせながら眺めていた。


もしかしたら、同じキャストを指名する客同士で、優劣の差を付けたかったのかもしれないという考えが頭を過ぎった。
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