氷の華
「蘭さんどうしたんですか。」


時が流れ出したように、慌てた伊藤君が寄ってきた。


その後ろには、社長室を出てきた柿沢店長の姿も見える。


「皆様、大変失礼しました。蘭さん、取り敢えずあっちへ場所を移しましょう。」


伊藤君ほど慌ててはいないものの、柿沢店長も明らかに困惑した表情を見せている。


「…分かりました。」


柿沢店長と二人でロッカールームに歩き出すと、今までの空気を払拭するような声が聞こえてきた。


振り返るまでもなく、その声は莉沙さんのものだと分かった。
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