氷の華
ロッカールームに入る直前で足を止めた私に、柿沢店長が振り返った。


「どうしました?」


「私が呼ばれるのなら、乃亜さんも呼んで下さい。」


瞬間考える表情を見せた柿沢店長は、全てを悟ったように口を開いた。


「宮口さんのヘルプに付いたのは乃亜さんでしたね?」


私は言葉には出さず、強い瞳で柿沢店長を見つめ頷いた。


「分かりました。先に中で待っていて下さい。」


通り過ぎていく柿沢店長を見ずに、私はロッカールームへと入った。
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