氷の華
自分も含めているのに、それでも他人事のように柿沢店長は冷たく言い放った。


私と乃亜さんの体温が、それにより少し奪われたのが分かる。


「…じゃあ、私はこれで。」


「あ、乃亜さんちょっと待って下さい。」


背を向けてドアに手をかけた乃亜さんが、呼び止められ振り向いた。


「な、なによ。」


「ホールでもマネージャーでもなく、今の私は店長ですからその事はお忘れなく。」


口調が柔らかいからこそ重みが増す、柿沢店長の言葉。


少しの体温を失っていた乃亜さんの顔が、更に青みを増していく。


乃亜さんはそれには答えず、ロッカールームを出て行った。
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