氷の華
「ねぇ、何を考えてるのか当ててあげましょうか?」


まだ情事の余韻に浸っている、莉沙の甘く悪戯な声。


莉沙に当てられるまでもない。


俺が考える事など、全店の売り上げを伸ばす事しかない。


金は偉大で金は力だ。


慎ましい生活でも楽しみはあるなどと言う奴は、俺にとって負け犬の戯れ言にしか聞こえない。


──金が無い奴は無力──


あの時以来、俺の中で何度も呟いている言葉であり、理念だ。
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