氷の華
甘いものが苦手だと分かっていても、演出の為に買ってきたケーキ。


最初は甘いものが苦手で不満を表した俺に対し、痒い所にも手が届く良い女を演じた点。


不満が払拭され、更に喜ばしい出来事が現れると、人間はマイナス値だった所をゼロにし、そこからのプラスとして計算する。


その幅が大きいほど、喜びにも深さが増していく傾向にある。


そして、気を利かせて直ぐにワイングラスを取りに向かった所も良い。


それ等が素でも演技だとしても、伊達にナンバー1を張ってはいないという事だ。


だが、俺の天秤が莉沙に傾いたかと問われれば、それは違うと断言する。


俺の目は、常に女を商品としてしか見ていない。
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