氷の華
その辺を歩いている女を見れば、キャストになれば幾らぐらい稼げるか。


それが他店のキャストなら、俺の店に幾らで引き抜き、どれぐらい稼いでくれるか。


脳内の電卓では、それしか考えていない。


酪農家が何の為に家畜を育てるかと問われれば、生計を得る為と答えるだろう。


だから飼ってる家畜にも名前など付けない。


俺とは、互いの扱う商品が違うというだけだ。


それに俺の中の天秤は、初めから金の方にしか傾いていない。


冷たく凍てついた心…俺の中を流れる血もそれに感化され、疾うに熱を失っているだろうと思う。
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