氷の華
二十卓のテーブルは、ほぼ満席状態。


俺が素早く店内を一瞥しただけで、酔客には分からない緊張感が張り付いた。


来店者は、全てのキャストが一瞬の内に把握する。


扉が開いて閉じるまでの一瞬。


最低限、それぐらい出来なくては俺の店で働く資格はない。


その間に、自分の客か誰の客か、それともフリーの客か。


自分の指名客が、枝と呼ばれる新規の客を連れてきたか、誰の指名客が枝を連れてきたのか。


誰かの指名客なら、そのテーブルにヘルプとして回されるか否か…。
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